“製版”とは何でしょうか。文字通りとらえて「版を製作・製造」することですが、具体的に説明してみようと思います。
印刷物は、おおまかに「企画」「デザイン(レイアウト)」「製版」「印刷」という工程をへてできあがります。その工程を江戸時代の浮世絵になぞらえてみましょう。浮世絵は版画ですが、その工程は現代にもひきつがれている印刷の原理です。
浮世絵は「絵師」「彫り師」「刷り師」の3者の協力で作られます。例えば写楽の役者絵はこんなふうに制作されたのではないでしょうか。
企画
写楽の役者絵は蔦屋重三郎の店で売られていました。おそらく蔦屋重三郎が売り出したと思われるので、彼が企画者といえます。ターゲットの設定、売れてる役者の選定もしたであろうし、もしかしてラフデザインぐらいはしたかもしれません。
デザイン
絵師が企画に基づいて墨で下絵を描きます。これが輪郭線になります。この段階で重三郎はなにか注文をつけたことでしょう。
製版
彫り師が下絵を山桜の木の板に貼りつけ、まず黒1色の輪郭線を刷るための版を彫ります。さらに、色ごとに分けて版木を彫り、それぞれの色の色板を作ります。当然ここでも重三郎、さらには絵師、ひょっとしたら刷り師にも何か言いたいことがあったにちがいありません。
印刷
絵師の立ち会いのもと、刷り師がそれぞれの版木に色をつけて、紙に刷って完成します。

製版工程である彫り師は、なかなか重要なポジションだと思いませんか。DTPオペレーションにおける、「レイアウトソフトで組み上げたものをプリンターで出力する」という作業では、製版工程、つまり「版の製作」はプリンター内部での処理となり、オペレーターが意識することはありません。しかし、厳密に印刷することを考えれば、製版は彫り師と同じように印刷フローにおける重要な工程です。





